フォトグラファー×イラストレーター CAT BUNNY CLUB

「欲求を発散する」【第3回】

Part.3of 3

クリエイティブの未来を担うのは、きっと、クリエイターの心を揺さぶるクリエイター――。
シリーズ「次代を創るプロフェッショナル」では、クリエイティブの世界でひときわ強い存在感を放つ、いま注目のつくり手たちをご紹介します。

今回ご紹介するのは写真家の植村忠透さんと、イラストレーターの佐々木香菜子さんご夫妻。
両名の魅力やクリエイター/アーティストとしての姿勢、そして2人で結成した「CAT BUNNY CLUB」のアート活動を、全3回に分けて余すことなくお伝えします。

第3回でご紹介するのは、植村さんと佐々木さんが展開する「CAT BUNNY CLUB」での取り組み。命名時のエピソードや作品の制作方法、今後の目標などについて伺いました。

活動名「CAT BUNNY CLUB」の意外な由来

犬好きだけど、キャットバニークラブ

――CAT BUNNY CLUBという名前で活動されていますが、好きな動物は何ですか?
佐々木:もう100%犬だよね。
植村:うちはもう間違いなく犬かな。
佐々木:金太郎っていう愛犬を飼ってるくらいですから。

――でも猫とウサギですよね。CAT BUNNY CLUBという活動名の由来は?
植村:もともと2人で作品をつくりたいなと思っていて、あるとき作品を展示できる機会をいただけたんです。本格的にやるからには「やっぱり名前が必要だよね」という話になりました。
佐々木:うちはいつもそうなんですけど、ご飯を食べながら、お酒を飲みながらそういう話をしてましたね。
植村:そのとき流れていたテレビの深夜番組から“キャバクラ”っていうワードが聞こえてきたんです。で、響きがキャッチーだよねって。
佐々木:そう、「かわいいね」ってなったんです。
植村:単語としてすごくいい響きだなと思ったんですよ。そこから広げて名前にできないかなと。ようは略してキャバクラになる名前を考えたんです。そこから何個か考えて、最終的に“キャットバニークラブ”にたどり着きました。
佐々木:無理やり理由づけするのであれば、夫が猫アレルギーで、私は実家でウサギを飼っていた、という程度ですね(笑)。

活動名は“遊び”の感覚から来るチョイス

――耳触りのよさで名前をつけたんですね。
佐々木:そう、すぐ覚えてもらえるように。
植村:ギャグみたいなものなんですけどね。男同士の飲み会でならわかるんですけど、そういう単語って普段そんなに口にしないじゃないですか。女性なら特に。それが美術館やギャラリーのなかで聞こえてきたらおもしろいねって。
佐々木:しめしめだよね。
植村:“遊び”の感覚からくるチョイスですね。

CAT BUNNY CLUBは欲求を発散するための活動

1人ではできなくても、2人でならできる

――CAT BUNNY CLUBではどんな活動をしているんですか?
佐々木:普段している仕事以外でやりたいことをやる活動、ですかね。2人の「こういうのをやりたい」っていう感覚がわりと似てるので、否定的になることはほとんどありません。「実現するためにはどうすればいいか?」という話し合いができるんです。

――2人で本格的に活動することになったきっかけは?
佐々木:実はもっと若いときに2人でやろうって話はあったんですけど、若さゆえなのか、経験値のなさゆえなのか、そのときはバトっちゃって(笑)。
植村:一応作品はできたんだけど、お互いに消化不良になっちゃったんです。僕らは2人とも家にアトリエを持っているから、お互いの仕事が見えるんですよ。だから「一緒に作品をつくったらこういうことできるかもね」という話はよくしてたんです。でも、いざやってみたらなかなかうまくいかなかった。それでいったんストップして、それぞれの仕事で経験を積むことにしたんです。
佐々木:そこから時間が経ち、改めて作品づくりをしようとしていたときに、原宿にある「L’illustre Galerie LE MONDE」というギャラリーの方からグループ展に参加しないかと連絡があったんです。それがきっかけで、本格的に作品をつくり始めました。

――CAT BUNNY CLUBの活動の目的を教えてください。
佐々木:「制作したい」という欲求の発散を目的に活動しています。個人ではできないことも2人だと実現したりするので楽しいですよ。
植村:お互いが今まで積み重ねてきた経験を、個々の仕事や作品づくりとは違うカタチでアウトプットできるのがおもしろいですね。

役割を決めないCAT BUNNY CLUBの制作スタイル

普段できないことをする、だから楽しい

――作品制作時の2人の役割について教えてください。
植村:作品によって進め方は違うんですけど、明確に担当を決めたことはないんですよ。「こんなことやったらおもしろいんじゃない?」という話から始まって、それから「僕はこれやる」「じゃあ私はこれやる」と流れで進んでいく感じです。

――完全に分業するわけではないんですね。
植村:さっきお話ししたグループ展に出した作品は、「まずはお互いの象徴になるようなものにしよう」ということで、僕が撮った写真の上に佐々木が絵を描きました。撮影するときの角度や写真のテイストとかは相談しながら進めたし、上に載せるペイントのイメージも相談しながらでした。完成形を見ると役割分担しているように感じるかもしれないんですが、プロセスとなる部分は2人で一緒に詰めていきましたね。

――ほかの作品も同じようなスタイルなんですか?
佐々木:そうですね。グループ展「MEMENTO MORI ~死者の日~」(@L’illustre Galerie LE MONDE)の作品も同じスタンスでつくりました。2人で飲みながら(笑)。

――最初から完成形のイメージはあったんですか?
佐々木:ドライフラワーを使ってドクロをつくることだけは決めていました。でも、下書きや設計図はそれぞれの頭のなかだけにしてつくり始めたんです。そのほうが想像を超えていくのではないかなと!
植村:自分たちでもどうなるかワクワクしてましたね。
佐々木:左右で分けてつくったんです。左が植村で、右が私。だから出来上がったものをよく見ると、左右で性格が出ちゃってるんですよ。
植村:CAT BUNNY CLUBはもともと「普段できないことをいろいろしてみたい」という欲求から始まっているんですけど、この作品は仕事でやっていることからは離れた作業ができました。「作品が出来上がっていく様子を見せたい」とか「映像作品をつくりたい」という話もしていたので、その両方ができたという意味でも、すごくおもしろかったです。

――愛犬の金太郎くんをモチーフにしたトランプの制作も、普段のお仕事とは離れていますよね。
佐々木:そうですね、楽しかったですよ!
植村:写真家とイラストレーターの場合、プロダクトを一から企画してつくる仕事はあまりないですからね。ただ、「普段の仕事と離れている」といっても物理的な作業が違ったりするだけで、作品に対する考え方は同じような感覚でやっています。やはり今までの経験も役に立っていますね。
佐々木:ほんとは金太郎がモチーフになったレザーバッグもつくりたかったんですけどね。

――レザーバッグはなぜやめたんですか?
植村&佐々木:時間と金額。
佐々木:いつかは絶対つくりたいですけど……!
植村:まあでも、自分たちが普段やらないことに手を出すっていうのは、大きな経験になりますね。バッグをつくろうと考えたときも「こういう作業工程を経なければいけないんだな」とか、「こんなに予算が必要なんだな」と気づけましたから。
佐々木:勉強になるし、自分の知識にもなるしね。

――それぞれにお聞きしたいんですが、CAT BUNNY CLUBでの活動は普段の仕事に「活きている」と感じますか?
佐々木:前回のインタビューで「作品づくりに対して限界を決めたくない」って言ったんですけど、この活動をすることで自分の想像の幅や可能性が広がっている感じはしますね。
植村:そうですね。自分の制作についてだけでなく、ほかの方の作品に対しても見方や考えることが変わったと思います。視野が広がったというか。


CAT BUNNY CLUBのこれから

「やりたい」気持ちを、カタチにし続けたい

――今後、CAT BUNNY CLUBで予定している活動はありますか?
植村:この活動を始めてから「こういうことできないかな?」という話をする機会がすごく多くなっていて、アイディア自体はたくさんあるので、それを発表できるようにきちんと作品をつくっていきたいと思います。
佐々木:次はファッション・アート・映像・空間をミックスした作品をつくりたいなと思っています。ただ、それを実現するにはいろいろな方の力が必要になるので、部員も勧誘しなきゃな~と(笑)。

――2人での活動にこだわっているわけではないんですね?
佐々木:誰でもいいってわけではないですけど、“クラブ活動”なのでぜんぜん問題ないです。将来的には料理人とか、まったく別な分野の方と作品をつくってみたいと考えてます。
植村:「新しいことに挑戦したい」という感覚が強いので、新しい作品にはチャレンジングな要素を入れたいんですよね。

――CAT BUNNY CLUBの目標を教えてください。
佐々木:解散しないことじゃないですか(笑)。
植村:「アート性の違い」で、みたいな(笑)。まあ、つくり続けていく意識はあるので、それをちゃんとカタチにし続けることが目標ですかね正直、仕事との両立は大変ですけど、「こうしたい」と思って終わりにしては意味がない。つくり続けることに意義があると思っています。
佐々木:あとは、普段作品に触れる機会が少ない方々にも見てもらえるような展示ができたらいいなと思います。みんなが作品を見てちょっとハッピーになれるような場を提供できたらうれしいですね。

CAT BUNNY CLUBから若きクリエイターたちへ

――第1回と第2回でもお聞きしたんですが、今回はアート活動を行うCAT BUNNY CLUBとして、アーティストを目指すクリエイターたちにメッセージをお願いします。
植村:それが「本当に自分でおもしろいと思えるかどうか?」と考えることですかね。僕らが「これをつくろう!」って最終決定するときの基準は、「お互いにちゃんとおもしろいと思えるかどうか」なんです。どちらかがモヤモヤしていることがあると、アイディアで終わってしまうんですよ。
佐々木:そのためにはお互いがお互いを納得させられるかどうか。そんな戦いも実はあるんです(笑)。だから、自分を信じて可能性を生み出していくのが、作品づくりには重要だと思っています。

――ありがとうございました。

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    UPDATE:
    次代を創るプロフェッショナル
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    CAT BUNNY CLUB(きゃっと・ばにー・くらぶ)
    2016年、フォトグラファー・植村忠透氏とイラストレーター・佐々木香菜子氏の夫妻により結成されたクラブ活動。「制作したい欲求の発散」を目的にアート活動を展開している。略称は「CBC」もしくは「キャバクラ」。絶賛部員部集中。


    植村忠透(うえむら・ただゆき)
    青森県出身、フォトグラファー。
    東北工業大学を卒業後、フォトグラファーを目指して上京。写真家・宮原夢画氏のアシスタントを経て2005年に独立。ファッションや美容関連のジャンルを得意とし、これまでに広告や雑誌、著名人のポートレート撮影を数多く手がけてきた。


    佐々木香菜子(ささき・かなこ)
    宮城県出身、イラストレーター。
    東北工業大学を卒業後に上京し、デザイン会社、アーティスト事務所を経て独立。ファッションを主軸に、広告や商品パッケージ、企業とのコラボレーションなどを幅広く手がける。近年は抽象画作品の制作や作品展の開催にも注力。