広告賞カレンダー

日本BtoB広告賞

広告賞にも様々な形態があります。
ここでは、我が国では唯一のBusiness to Business に立脚している広告賞をご紹介いたします。

「日本BtoB広告賞」。
企業が企業に向けて行う広告活動の総合コンテストで、2016年は375の応募がありました。
主として「生産財」を扱った企業の宣伝広告作品を対象にしているため、余り一般の方には接触機会がありませんが、BtoB故の明確なターゲティングに基づいた応募作品が多いのも特徴です。

では、ビジネス・マーケティング・コミュニケーションの一翼を担う広告を表彰する「日本BtoB広告賞」と、その主要受賞作についてご紹介いたします。

概要

日本BtoB広告協会が主催する広告賞で1980年に創設されました。
特色は勿論「冠」にもあるBtoBです。
BtoB分野の企業間コミュニケーションツールとしての「広告」の普及、振興を図るために創設された広告賞で、「BtoB広告」の総合的なレベルアップを図ることを目指しています。

募集は13部門ですが、webの3部門を除くと、「紙媒体」が2部門、カタログ・ポスター等の印刷関連が8部門で、TV・ラジオの波メディア部門はありません。
この部門構成を見るだけでも、コミュニケーション対象が「C」ではなく、「B」であることが見てとれます。

グランプリは「経済産業大臣賞」2点で、広告主と制作会社(者)へ経済産業大臣賞表彰楯とトロフィと副賞(20万円)が贈呈されます。

選考は、「部門賞」を決定後、「金賞」13点から、「経済産業大臣賞」を決定します。

2016年の「経済産業大臣賞」は、大阪に本社がある「株式会社椿本チエイン」(本社:大阪市北区、代表取締役社長 大原靖)が制作した企業ポスター「CHAINS FORM THE WORLD」が受賞しました。制作会社は大広 モノリスです。
同社は、新聞広告部門においても「世界はチェーンでできている」が銅賞を受賞しました。

受賞対象作品は、企業PRに制作した「CHAINS FORM THE WORLD」の3部作で、実際のチェーンを積み上げて仮想都市を表現しています。
新聞広告部門・銅賞受賞した「世界はチェーンでできている」は、チェーンで「一筆書き」で建機を表現しています。

講評は「チェーンのみで、他の比喩的要素や情感誇張要素などを一切排除したシンプルでピュアな表現でありながら、情報は豊富。BtoB広告の王道を行く重厚な作品」と、言うことでした。

ちなみに、同作品は日本経済新聞社主催の第65回「日経広告賞」の日経産業新聞広告部門において「優秀賞」。
日刊工業新聞社主催の「日本産業広告賞」の新聞シリーズ第1部で2位の「第2席」も受賞しています。

では、募集部門をご紹介いたします。

応募部門

  • SH:新聞広告の部
  • Z:雑誌広告の部
  • S:製品カタログ<総合>の部
  • T:製品カタログ<単品>の部
  • K:企業カタログの部<会社案内、営業案内>の部
  • ACSR:企業活動レポート(アニュアルレポート、CSRレポートの部、統合報告書等)の部
  • N:入社案内の部
  • PR:PR誌の部
  • C:カレンダーの部
  • P:ポスターの部
  • WCO:ウェブサイト<一般サイト>の部
  • WSP:ウェブサイト<スペシャルサイト>の部
  • WRE:ウェブサイト<リクルートサイト>の部

ウェブサイトの3部門については、第1回審査会時点(平成28年4月上旬)に掲載されている内容で審査されます。

部門賞は、金賞・銀賞・銅賞で、広告主と制作会社(者)へ表彰楯。
他には、特別賞が広告主と制作会社(者)。
奨励賞が広告主へ贈られます。

審査と審査方法

第一次審査会で入賞候補作品を選出し本審査会で、部門別に審査し、金賞、銀賞、銅賞、次点、特別賞が決定されます。
奨励賞は、事務局推薦作品です。

最高位の「経済産業大臣賞」は、各部門の金賞作品の中から1点選出されます。
表彰楯、副賞20万円は、広告主と制作会社(者)双方に授与されます。

審査委員

  • 審査委員長 田保橋 淳氏(多摩美術大学名誉教授)
  • 副審査委員長 石崎 徹氏(専修大学経営学部教授)
  • 産業省から参加
  • 鈴木 信二氏(日本アドバタイザーズ協会)
  • 横山 隆行氏(日刊工業新聞社)
  • 井上 宏一氏(岡村製作所)
  • 河内 英司氏(カットス・クリエイティブ ラボ)
  • 進藤 瑞博氏(電通)
  • 本田 能隆氏(博報堂)
  • 山﨑 方義氏(クボタ)
  • 吉野 宏氏(日本BtoB広告協会)
  • 関 邦彦氏(三菱電機)
  • ウェブサイト審査委員
  • 主幹 橘 貴之氏(コミュニケーションデザインリンク)
  • 気賀 崇氏(イントリックス)
  • 廣田和也氏(IMAGICAティーヴィ)日本
  • 山之口 援氏(博報堂コンサルティング)
  • 明 豊氏(日刊工業新聞社)

また、同協会では、次代を担うコピーライターや若者を育成するために、

  • BtoB広告テクノコピー賞
  • 日本学生BtoB新聞広告大賞

の広告賞も開催しています。

第37回 受賞作品紹介

ポスターの部 経済産業大臣賞
株式会社椿本チエイン「CHAINS FORM THE WORLD」

株式会社椿本チエインは1917年に創業以来、車や機械のチェーン製造事業で海外にも進出しているものづくり企業です。この受賞作品「CHAINS FORM THE WORLD」は、企業PRに制作された3部作となっています。一見するとただのモノクロのオフィスビルのCGのようですが、実はこの作品は椿本チエインが総延長800m、総重量240kgものステンレス製のドライブチェーンを積み上げて製作された仮想都市のチェーンアートを写真撮影したものです。

現代社会の都市では、ヒト・モノが安全、快適、スピーディーに動くことが求められています。その動きのある場所にはかならずといっていいほどチェーンが存在し、快適な都市を支えているのだというメッセージが込められています。

ポスターの部では都市の威風堂々とした重厚感をモノトーンと構図で演出されていますが、椿本チエインのCMや展示会ではこのチェーンアートに360°のプロジェクトマッピングでカラフルに彩られ華やかな都市が表現されました。

新聞広告の部 金賞
パナソニック株式会社エコソリューションズ社「『赤をちゃんと』iDシリーズ高演色タイプ」

「iDシリーズ高演色タイプ」とはパナソニック製の医療用LEDランプです。患者さんの顔色や肌の色は医療従事者にとって大事な診断基準のひとつとなります。診察・診療室に設置される照明器具は精緻な肌色の再現性が求められますが、黄色が強い通常のLEDランプでは、患者さんの「赤ら顔」や「患部の赤み」が落ち着いて見えてしまい異変に気づきにくいことがあります。そこで、肌色の赤みも精緻に再現できるように開発された商品がこのLEDランプです。

この作品では、全体に赤みがかっており、赤ちゃんが烈火のごとく大泣きすることで体の不調を伝えています。赤の色彩イメージはポジティブなものでは情熱、活動的、愛といったものがありますが、今回は怒り、興奮、危険といったネガティブな意味合いで使われており、注意の引きやすいクリエイティブに仕上げられています。

雑誌広告の部 金賞
パナソニック株式会社「Panasonic ビジネス ソリューション シリーズ」

この受賞作品では、パナソニックのビジネスソリューションの事例として畜産事業が採用されています。この事業では牛舎のイノベーションです。かつての牛舎は、屋根と柱だけといった開放型牛舎が一般的でした。しかし開放型では空調コントロールができないため、四季の外気の影響をダイレクトに受けるとともに、衛生環境も悪く、ストレスに弱い乳牛にとっては過酷な環境でした。

そこで、牛舎を壁で囲った閉鎖型に切り替え、温湿度センサーが牛舎内の気流と温度を管理し、空調をコントロールすることで乳牛のストレスを軽減して、安定した搾乳と出荷量が確保できるプロダクトが今回の事例です。このプロダクトは2016年にグッドデザイン賞も受賞しました。

この広告のポイントは「意外性」です。もし、「牛舎を思い浮かべてください」といわれたら、多くの人は屋根と柱だけの開放的な木造牛舎に、足元が泥だらけの牛が並んでいる風景を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、この広告ではファンが設置された近代的な牛舎の中で、乳牛が穏やかな表情で佇んでいる様子が映し出されています。この広告はかつての牛舎のイメージを覆し、見る人に驚きを与え、ペラペラと何となく雑誌をめくる読者の目を留める広告といえるでしょう。

ウェブサイト<一般サイト>の部 金賞
明治大学「明治大学発、社会への提言。『Meiji.net (メイジネット)』」

ウェブサイト 一般サイトの部では、明治大学の「Meiji.net (メイジネット)」が受賞しました。このサイトは、明治大学の教授陣が社会のさまざまなテーマを取り上げて意見を発信する大学独自の情報発信サイトです。

情報量は豊富ながらも、非常にシンプルでユーザーフレンドリーなIA(情報設計:Information Architecture)となっています。認知科学の世界においてヒトが短期的に記憶できる数は3~4と証明されていますが、このカテゴリ数もシンプルに3カテゴリで構成されており、写真や文字も大きく、視認性も可読性も高いデザインとなっています。

特記したいのは、大学教授の3,000文字以上もあるコラムが1Pで一気に読めるUI(User Interface)であることです。通常、大学教授のコラムをサイトで閲覧する場合は、多くの場合、広告収入とSEO施策のために本文を閲覧する前に広告が挟まれていたり、本文を分断する位置にバナーが挿入されていたり、ページ送りの「続き」から何度もアクセスしなければならないなど、ユーザーに強いられるストレスフルなアクションが数多く存在します。しかしこのサイトでは、コラムを読む以外の不要なアクションは一切存在しないため、ユーザーは記事に集中して閲覧することができます。

また、デザインも全体がフラットデザインで余白も心地が良く仕上がっています。コラムページは文章量が多くとも耐えられるよう行間サイズが十分に確保されており、原稿自体も句読点を増やすテクニックで文字の可読性を上げています。もちろんレスポンシブデザインのため様々なデバイスにも対応しています。

信憑性の高い情報を知りたいというユーザーに対して、ストレスがかからず情報提供できるこのサイトはUX(User Experience)の観点からも非常に好感度の高いサイトといえるでしょう。

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