ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS

広告賞は星の数ほどあります。今回はその中からACC TOKYO CREATIVITY AWARDSについて、そのあらましや応募要項についてご紹介します。
概要
ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSは、テレビやラジオのCMの質的向上を目的に、1961年からスタートした「ACC CM FESTIVAL」を前身として2017年より枠を広げて様々な領域におけるクリエイティブを対象とした賞にリニューアルされました。 この賞は名実ともに日本最大級のアワードとして広く認知されており、特に「総務大臣賞/ACCグランプリ」は、クリエイティブ業界で活躍する関係者の大きな目標となっています。
対象者・応募資格
対象となるのは一般社団法人日本民間放送連盟に加入している放送局において放送されたテレビ・ラジオCMやキャンペーン、広告などを出している会社です。
部門一覧
フィルム部門
Aカテゴリー
フィルム部門Aカテゴリーの参加資格は、前年7月1日から該当年6月30日までの間に一般社団法人日本民間放送連盟に加入している放送局において初放送されたCMとなっています。
テレビCMと地域テレビCMに分かれており、同一作品を重複してエントリーすることはできません。
地域テレビCMの参加対象は、広告主がある地域で放送することを目的として企画・制作した作品となっています。ネットワークまたは在京キー局と衛星放送で放送されたものは全国とみなします。
Bカテゴリー
フィルム部門Bは前年7月1日から該当齢月30日までの間にWeb上で公開されている映像広告です。こちらは初公開日を問いません。
ラジオCM部門
ラジオCM部門の参加資格は、前年7月1日から該当年6月30日までの間に、一般社団法人日本民間放送連盟に加入している放送局において初放送されたCMです。
ラジオCMと地域ラジオCMに分かれており、同一作品を重複してエントリーすることはできません。
地域ラジオCMの参加対象となるのは、広告主がある地域で放送することを目的に企画・制作した作品です。ネットワークまたは在京キー局で放送されたものは全国とみなします。
アンダー29の対象者
ラジオCM部門では、20代の若手クリエイターを表彰する場として「アンダー29」の作品を募集しています。こちらの応募資格は「肩書に関係なく、代表製作者が当該年のエントリー締切日当日に29歳以下であることが条件となっています。 シリーズ作品でエントリーする場合に、シリーズ中のすべてのCMがアンダー29該当作品ではなくても、アンダー29としてエントリーすることができます。ただし、アンダー29作品該当者は1作品につき1名のみとなっています。
マーケティング・エフェクティブネス部門
前年7月以降も継続している企画(キャンペーン)であることと、以下のいずれか1つ以上の施策を行っていることが参加条件です。
- 前年7月1日から該当年6月30日の間に、一般社団法人日本民間放送連盟に加入している放送局においてテレビCM、またはラジオCMが放送されたキャンペーン施策であること
- 前年7月1日から該当年6月30日までの間に、ムービーコンテンツ、サウンドコンテンツをWebなどで展開したキャンペーン施策であること
インタラクティブ部門
前年6月1日から該当年6月30日の間にローンチもしくはリニューアルして展開されたすべてのインタラクティブ広告、広告的取り組みが対象となります。
ただし、前年6月1日から6月30日までの作品は、昨年度に応募していないことが条件となっています。
【カテゴリ分類】
1.オウンドメディア
企業などの自社サイト・広報サイトなど、及びセルフ・プロモーションのサイトなどや、自社のコミュニケーションの取り組み、サイトデザイン、情報設計などが対象となります。
2.オンラインアド
バナーなどを含む、インターネットのあらゆる媒体に出稿した広告や、その掲載面を活用した事例などが対象となります。
3.Webキャンペーン
キャンペーンサイトやPCサービスなど、主にPCでの体験を中心に設計されたものなどが対象となります。
4.オンラインビデオ
インタラクティブムービー、バズムービー、バイラルムービーなど、すべてのインターネット・モバイル領域での視聴・観賞用に作られた動画や様々な目的、機能を持った動画、動画を中心にしたプロモーション、デジタル・インタラクティブならではの特性を活かした動画などが対象です。
5.モバイル
モバイルサイト、モバイルアド、モバイルアプリなど、モバイルでのコミュニケーションの効果や体験に特化した施策やサービス、キャンペーンなどが対象です。
6.デジタル・ツール+ウェアラブル・デバイス
PC、モバイルを問わず、ユーティリティやエンターテインメントの機能などを持つ、アプリ、ゲーム、サービス、その他のツールやデバイスなどが対象となります。
7.アウトドア・メディア+デジタル・サイネージ
アウトドア・メディアやデジタル・サイネージなどでの事例や、それらの媒体での効果的な出稿物、それらをインタラクティブな手法と絡めて実施した事例などが対象となります。
8.リアルイベント×インタラクティブ
現実のイベントや場所と絡めてインタラクティブな手法を実施した事例やキャンペーンなどが対象となります。
9.マスメディア×インタラクティブ
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのマスメディアをインタラクティブな手法と絡めて実施した事例などが対象となります。
10.ソーシャルメディア
ソーシャルメディアを活用し、ユーザー間や、ユーザーと企業などとの活動をつなげた事例や、ソーシャルメディア上で話題になり、なんらかの成果や効果のあった施策などが対象となります。
11.ブランデッド・コンテンツ
従来の「広告」という枠を越えて、ブランド・イメージの向上や、商品や企業のメッセージを伝達するなどの目的を持った、なんらかのコンテンツが対象となります。
12.キャンペーン・インテグレーション
複数の異なる領域や手法を、統合的に組み合わせて企画され実施された事例などが対象となります。
13.IoT、AR、VR、AI、ビッグデータなどを含むニューテクノロジー
新しく開発された技術や、技術の新しい使い方などによって実施され、成果をなした事例や、広告的な効果をもたらした技術開発そのものなどが対象となります。
14.広告的発明
新しい手法、新しい領域、新しい概念、新しい組み合わせなどで、広告的効果を成し、広告に「新しい発明」といえるものをもたらした事例などが対象となります。
メディアクリエイティブ部門
前年1月1日から該当年6月30日の期間に放送、または出稿されたしかけや取り組みが対象です。
クリエイティブイノベーション部門
前年1月1日から該当年6月30日までの期間に上市、または社会実装されたプロダクト&サービスおよび同期間に生み出されたプロトタイプが対象となります。
各賞の内容
フィルム部門 Aカテゴリー
- 総務大臣賞/ACCグランプリ
- ACCゴールド・ACCシルバーACCブロンズ
- ACC地域賞
- ACCファイナリスト
- ACC地域ファイナリスト
- 小田桐昭賞/ACCクラフト賞
フィルム部門 Bカテゴリー
- 総務大臣賞/ACCグランプリ
- ACCゴールド・ACCシルバーACCブロンズ
- ACCファイナリスト
- 小田桐昭賞/ACCクラフト賞
ラジオCM部門
- 総務大臣賞/ACCグランプリ
- ACCゴールド・ACCシルバーACCブロンズ
- ACCファイナリスト
- ACC地域ファイナリスト
- アンダー29/ACCクラフト賞
マーケティング・エフェクティブネス部門
- 総務大臣賞/ACCグランプリ
- ACCゴールド・ACCシルバー・ACCブロンズ
- ACCファイナリスト
インタラクティブ賞
- 総務大臣賞/ACCグランプリ
- ACCゴールド・ACCシルバー・ACCブロンズ
- 各カテゴリー賞
- ACCクラフト賞
メディアクリエイティブ部門
- 総務大臣賞/ACCグランプリ
- ACCゴールド・ACCシルバー・ACCブロンズ
- ACCファイナリスト
- エリア&コミュニティ賞
クリエイティブイノベーション部門
- 総務大臣賞/ACCグランプリ
- ACCゴールド・ACCシルバー・ACCブロンズ
- ACCファイナリスト
第56回ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS入賞作品
ここからは、第56回の入賞作品の中からピックアップして紹介していきます。
フィルム部門Aカテゴリー ACCゴールド
サントリーホールディングス「宇宙人ジョーンズ」シリーズ
宇宙人ジョーンズが日本で暮らすことで、日本の様々なことに関して独自の視点による感想をモノローグの形で綴っていくシリーズです。 例えば「時代」編では、中島みゆきの「時代」をバックに、寿司店の跡継ぎである主人公が都会に出て回転寿司店で働く様子を描いています。
「喝采」編では、ちあきなおみの「喝采」をバックに、ミッツ・マングローブと徳光和夫のやり取りが描かれています。 「プレミアム京都」編では、エリック・クラプトンの歌う「Change The World」をバックに、「ブラタモリ」風に紅葉の季節の京都を歩くタモリを追いかけています。 どのCMも、商品とは一見関係がなさそうでありながら、最後にはきちんと商品のPRに成功している作品と言えるかもしれません。
フィルム部門Aカテゴリー ACCシルバー
赤城乳業株式会社「ゆるくねアニマル」「ぶらぶら体操靴下編」
「ゆるくねアニマル」では、タイトルの通りゆるく描かれたキャラクターと、アコースティックギターの弾き語りで展開されていく朴訥とした歌声、どことなくトボけた内容の歌詞とともに、不思議な非日常感を表している作品です。「これって一体何のコマーシャルなの?」と思っていると、最後に製品紹介があるところも、強烈に製品を印象づけることにつながっています。
「ぶらぶら体操靴下編」では、妻に言葉では感謝しながらも、靴下を無邪気に脱ぎ散らかす男性が、ユーモラスでありながらも、「後から叱られるんだろうな…」と思わせてしまうところで製品紹介をしているところがポイントとなっています。
フィルム部門Aカテゴリー ACCブロンズ
日清食品ホールディングス・日清ラ王「あきらめる男編」
残業中のオフィスから帰宅しようと立ち上がった西島秀俊と、デスクに座ったままの滝藤賢一とのシリアス風な会話の内容は、翌日のお昼に「日清ラ王」を食べることをあきらめたことでした。
その理由はこれまでのラ王には「とんこつ味」がなかったことだったのですが、実は「とんこつ味」が発売されていることを聞いて愕然とする姿と「ラ王とんこつ味」の紹介でCMが終わることで、「このドラマの続きが観たい」という感情と、製品を「食べてみたい」という2つの感情を同時に呼び起こす作品となっています。
フィルム部門Bカテゴリー ACCファイナリスト
NTTドコモ「歩きスマホ参勤交代」
社会問題となっている「歩きスマホ」を、もしも江戸時代の参勤交代で行っていたら?という視点で描くことで、「歩きスマホ」の問題点である「(歩いている人などと)ぶつかる」「(駅のホームなどに)落ちる」「転ぶ」といったことを、実際のアンケートによる統計とともに、ユーモラスかつわかりやすく紹介しています。
そして最後に流れる、「歩きスマホ」を危険と感じている人が99%、一方で歩きスマホの経験者は73%という数字が、この問題の根の深さを表しているように思えます。
マーケティング・エフェクティブネス部門 総理大臣賞・ACCグランプリ
アキタ株式会社・きよらグルメ仕立て「きよらのたまご」
富士山の大自然に育まれた「きよらグルメ仕立て」は、食の安全とともに美味しさを追求した卵であることをアピールしたCMです。
実際に活躍するシェフに「きよらグルメ仕立て」を見てもらい、調理をして食べてもらっているシーンを挟むことで、製品のブランド化をより強固なものにしているように感じられる作品となっています。
マーケティング・エフェクティブネス部門 ACCファイナリスト
サンヨー食品・サッポロ一番「このひと手間が、アイラブユー。」
CM①では、母と子が互いが互いに作ったラーメンに卵を割り入れるシーンを描くことで、ほっこりとした幸せな感情を与えてくれる作品となっています。
CM②では、夫と子供が一緒にラーメンを作るのを妻が待っているという状況なのですが、ネギが切れていなかったり、何かを落とす大きな音が台所から聞こえたりするため、ハラハラしながら待った後に、仲睦まじくラーメンを食べるシーンで締められています。
どちらのCMも、最後は新製品の「カレー味」を紹介して終わるのですが、家族とともに食べるラーメンが幸せの象徴のような印象を残してくれます。
マーケティング・エフェクティブネス部門 ACCファイナリスト
味の素株式会社・クノールR カップスープ「温朝食キャンペーン」
普段の朝食にスープをプラスすることで、身体を温める効果があることをアピールしているCMです。
コーン、トマト、カボチャといった種類の中から選ぶことで、一日のはじまりである朝食をより楽しんでもらいたいという想いが伝わってきます。