退職の方法・引き継ぎガイド

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今までの職場を離れ、新しい環境に飛び込むのは、誰にとっても大きな決断です。初めての転職、あるいはこれから転職先を探すクリエイターの皆さんにとっては、「退職」もまた初めての経験。「そういえば、退職の流れやマナーを知らない」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。 職場を去る際に大事にしたい考え方は「立つ鳥跡を濁さず」です。新しいスタートを切るために、円満な退職ができるよう、ここでは退職の伝え方や流れ、引き継ぎのノウハウをご紹介します。

一般的な退職の手順とは?

まず、現在勤めている会社の就業規則を確認しましょう。民法の規定では、会社の承認が無くても申し出から14日を過ぎると退職できることになっていますが、就業規則では1~2カ月前までの申し出を定めているのが一般的です。スムーズな退職のために、期間を守りましょう(ハラスメントなどやむを得ない事情の場合は即時退職も可能です)。また、退職金の規定も確認し、額を算出しておくと確認がスムーズです。

②上司に退職意思を伝える

退職の意思が固まったら、直属の上司に伝えます。最初に伝える時は、書面やメールではなく口頭で。その後の相談内容や取り決めは、記録のためメールでもやりとりをしておくと良いでしょう。転職が決まった・始めるといった理由を伝え、退職希望日や引き継ぎ、有給消化の予定を決めていきます。親しい同僚がいても、上司より先に伝えてしまうのは失礼です。部署や会社全体への伝え方なども、上司と相談しましょう。

③退職までのスケジュールを考える

退職日が決まったら、具体的に予定を決めましょう。上司への申し出と前後して考えることになりそうです。これまでの有給休暇をまとめて消化する場合は、業務の引き継ぎを終えられるように計画を立てます。引き継ぎや有給消化も含め、退職まで2カ月程度の余裕はほしいところです。

④退職願もしくは退職届を提出する

退職願または退職届は、退職の意思を伝えた後、退職の1カ月程度前に提出するのが一般的です。記入の際は、提出日と退職日を混同しないよう気をつけましょう。退職願と退職届の違いについては、「退職するために準備すべきものとは?」をご覧ください。

⑤現在担当している業務の引き継ぎを行う

退職日、あるいは有給消化に入るまでに引き継ぎを完了します。ギリギリではなく、数日の予備日も含めた計画で進めるのがベスト。新しい案件は担当せず、関わる場合も補助的な役割にとどめます。業務を伝えたり、マニュアルを作ったり…引き継ぎのコツは「仕事の引き継ぎで失敗しないためには?」で紹介します。

⑥国民健康保険・失業保険等の手続きを行う

これらの手続きも必要です。特に退職してから就職先を探す場合、失業保険は不可欠です。
退職後すぐに再就職する場合と、失業の期間がある場合で必要な手続きが異なります。それぞれのケース別に手続きの仕方や注意点を紹介します。

退職後、すぐに再就職するとき
健康保険証は退職時に現在の会社に返却し、新しい健康保険証は次の会社に入社後、手続きをして支給してもらいます。入社してから新しい保険証を受け取るまでの間にどうしても病院に行く必要がある場合は、入社した会社に「健康保険被保険者資格証明書」の発行を依頼しましょう。
厚生年金、雇用保険の手続きも新しい会社で行ってもらいます。前の会社から受け取った年金手帳、雇用保険被保険者証を提出しましょう。
退職後、次の就職まで期間が空くとき
被保険者の資格を喪失するため、国民健康保険などへの加入が必要です。
国民健康保険は市区町村の窓口で手続きを行います。また、退職した職場の健康組合の加入を2年継続する「健康保険の任意継続」も可能です。この場合、保険料は会社が折半していた分も自分で納めます。家族の健康保険(被扶養者)に入る場合は、その加入先に問い合わせましょう。
失業保険を受け取る
失業の期間がある場合は、離職票が必要です。前の会社から発行され、退職後に送られてきます。失業給付の手続きはハローワークで行います。その際受給資格の決定のために離職理由の確認が行われます。「会社都合」の場合と異なり「自己都合」では3カ月の給付制限があり、すぐには受給できないため、注意が必要です。

退職するために準備すべきものとは?

退職の意思を表示するための重要な書類が「退職願」「退職届」です。よく間違われやすいですが、「辞表」は会社の役員や公務員の退職の場合に使います。

退職願と退職届の違い

「退職願」は退職の願い出となる書類です。本文を「お願い」で記入します。会社が受理するまで撤回が可能なため、穏便に退職を進めたい場合や、引き止めや待遇改善など交渉の余地が残っている場合に向いています。

「退職届」は撤回のできない意思表示です。転職が決まっている場合や、意思が固く退職を引き止められたとしても残ることはない、という場合に向いています。会社都合の退職の場合、退職願は不利になることもありますので退職届で対応します。

退職願・退職届の書き方

白い便箋にペン字、縦書きが基本です。インクが消えるペンや、鉛筆での記入はNGです。標題は「退職願」または「退職届」と書き、どちらも2行目の下から「私事、」または「私儀、」で始めます。本文中の日付は退職日、署名の前の日付は提出日です。名前の下には認印か三文判で捺印しましょう。宛名は退職する会社の正式名称、代表者名になります。

退職願・退職届の提出方法

退職願または退職届は、封筒に入れて直属の上司に手渡しで提出します。企業によっては、人事部に提出する必要がある場合や、仕事内容の都合で所属が複数部署になっているため、直属の上司以外へ提出する場合もあります。

提出時期や手続きに問題がないのに受け取ってもらえないときは、内容証明郵便で送ることができます。このような場合、会社の承認が必要な退職願ではなく、退職届の方が効果的です。

また、会社都合だったはずの退職を自己都合にされてしまわないよう、本文も工夫しましょう。失業給付の「会社都合」「自己都合」の判断基準にもなるため、「一身上の都合」ではなく、退職せざるを得なかった理由を簡潔に記入しておくことで、不本意な「自己都合」退職にされにくくなります。円満な退職が理想ですが、トラブルになりそうな場合は慎重に対応しましょう。

仕事の引き継ぎで失敗しないためには?

退職の予定が決まり、具体的な残りの期間がはっきりしたら、いよいよ引き継ぎに取り掛かります。退職まで自分が続ける作業、引き継ぎ相手の仕事量を踏まえ、業務を引継ぐ時間を確保しましょう。

部下、後輩への業務の引き継ぎノウハウ

予定や引継ぐべき業務をピックアップしたら、重要度の高いものを間違いなく伝えられるように優先して引き継ぎましょう。金銭の授受が発生するもの、部署の管理、外部との取引担当などは重要度が高いといえます。

また、限られた時間の引き継ぎで、事例ごとの細かい注意まで口頭で伝えるのは無理があります。仕事の記録となっているメール、データ、書類は整理して後任者へ渡すようにしましょう。引き継いだ人が後々確認できる有益な資料になります。

マニュアルの作り方

口頭で伝えるだけでは不安がある重要な業務や、複数人で共有するもの、年1回のイレギュラーな業務はマニュアルを作成し、必要な時に参照できるようにしておくのが賢明です。

マニュアルでは業務の概要、注意点を書き出します。続けてフローを作成し、全体の期間、週ごとの作業、1日の作業を示していきます。説明部分はシンプルな文章で、スケジュール部分は表かカレンダーを用い、余裕があれば過去の業務の記録や書類のコピーを添付すると、「頼れる」マニュアルになります。

取引先への退職の挨拶のコツ。メールを活用しよう

社内では上司に相談しながら退職を伝えますが、社外に退職を伝える場合は、退職の少し前の訪問時かメールでの報告になります。メールでも失礼にはあたりませんので、不足なく退職の連絡をしましょう。ここではメールの注意点を紹介します。

社外へ退職のメールを送る時期は、社内で退職を公表した後で、かつ退職の2~3週間程度前が目安です。退職直前に挨拶をする(メールを送る)社内と違い、案件の引き継ぎに不安がないよう早めにします。同時に、後任者の紹介も行います。

件名は「退職のご挨拶」とし、複数の相手に送る場合はBccに設定します。本文は、前置き→退職の報告→相手への感謝・エピソードと絡めたお礼など→後任者の紹介→今後の発展の祈念、の流れがスムーズです。

【ポイント】
  • 退職理由は具体的に書かず「一身上の都合」にし、転職先も書かない。
  • 退職日を明記する
  • 後任の担当について知らせる
  • 個人情報を管理する (複数送信の宛先を公開しない、顧客の情報を教えたりしない、私用の連絡先を載せない)

これらの点に注意して、早めで丁寧な連絡を心がけましょう。

退職のときによくある不安とは?

退職にあたって取り組むべき工程が、段々見えてきたのではないでしょうか。しかし、退職という一大決心では、他人には聞きづらい疑問も尽きないものです。ここでは、「退職の意思を周囲に伝えるタイミング」や「退職日までの給与」などについてアドバイスをします。さらに不安を解消していきましょう。

周囲への退職の報告はどのタイミングですべき?

転職が決まったり、始めることを決め、退職希望日の2カ月前には報告をします。退職の意思を伝えるのは、一番最初が直属の上司になります。大まかな予定の相談が済む翌週あたりには、所属する部署に伝え、人事部など退職の手続きに関わる社員にも報告しましょう。会社の規模にもよりますが、複数の他の部署や会社全体への連絡は、一斉メールや社内の連絡方法で、退職や有給消化の2週間程度前になります。上司より上の立場の社員には、上司を通じて伝えてもらうのが無難です。

退職まで残り1カ月を切ったら、順次社外にも連絡をします。社内できちんと公表をせず、同僚や部下が社外との接触で知ってしまう、という事態は避けましょう。

退職日までの給与はどのように支給される?

退職日までの給与はどのように支給される?

退職までの給与も、通常と同じタイミングで支給されます。特段の手続きは必要ありません。ただし退職金は支給日が通常の給与とずれるかもしれません。額とともに、就業規則を確認するか、経理担当者に尋ねるようにしましょう。

退職日までの給与はどのように支給される?

退職日までの給与はどのように支給される?

退職までの給与も、通常と同じタイミングで支給されます。特段の手続きは必要ありません。ただし退職金は支給日が通常の給与とずれるかもしれません。額とともに、就業規則を確認するか、経理担当者に尋ねるようにしましょう。

退職後に転職先を探す場合、どれくらいの貯蓄が必要?

失業給付で受け取れる「基本手当日額」は、以下のように定められています。

この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。
基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められており、現在は次のとおりとなっています。

(平成28年8月1日現在)

30歳未満
6,370円
30歳以上45歳未満
7,075円
45歳以上60歳未満
7,775円
60歳以上65歳未満
6,687円

「ハローワークインターネットサービス」より引用

自己都合退職では、失業給付は3カ月待たないと受給できません。また、転職活動では交通費や試験・面接に伴う出費が発生します。今までの毎月の収入と支出を計算し、半年分ほどの生活費は貯蓄しておきましょう。就職活動が本格化、長期化した場合は出費の増加分を失業給付に頼ることになります。退職金・貯蓄に余裕があり、会社都合退職の方は、退職後でも比較的職探しをしやすいといえます。

経済的な余裕がなくなると、多くの会社を受けることを諦めたり、精神的な焦りから就職活動に集中できない、不満の残る再就職をしてしまうなどの結果を招くおそれもあります。募集したいポストも、常に空きがあるとは限りません。在職期間も含め、転職は早めの行動が肝心です。

まとめ

退職の流れやマナーについて、イメージしていただけましたか?人生の転機を迎える不安を解消する一助となれば幸いです。あたたかく見送られて退職ができれば、転職先の仕事の良いモチベーションになります。
「円満に退職して、転職先でスムーズに仕事に取り組みたい」。そんな方は、転職活動や手続きについて解説した「はじめての転職」 「転職手続きガイド」も合わせてご覧ください。