コラージュアーティスト Q-TA

Q-TA コラージュワークショップ体験レポート「表現の引き算」を学ぶアートワーク【前編】

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2017年4月29日、東京の渋谷PoRTAL(ポータル)にて「Q-TA コラージュワークショップ」が開催されました。
Q-TAさんといえば、独特のシュールな世界観が魅力のコラージュアーティスト。ダークでポップでシュールな作品に惹かれるファンは後を絶たず、Instagramのフォロワーは約15万人に上ります。
一方で、ブランドビジュアルや装飾、本の装丁、CDジャケットのデザインなどを手がけるアートディレクターとしても活躍中。シュルレアリスムを独自の解釈で表現した作品は国内外でも高く評価され、「GUCCI」「Viktor & Rolf」など海外のアパレルブランドとのコラボレーションを果たしています。

今回はQ-TAさんがコラージュワークショップを開催すると伺い、GOOD! CREATOR編集部の2人が参加。クリエイターの仕事を肌で感じるべく人生初のコラージュ体験に挑みます。

 

渋谷PoRTAL(ポータル)にて

会場のPoRTAL(ポータル)は、渋谷駅から徒歩3分のところにあるコワーキングスペース。「世界や社会とつながる入り口として機能する新しいワークスペース」をコンセプトに2012年にオープンしました。主にクリエイターの個人事務所やスモールオフィスとして利用されています。

PoRTAL(ポータル)
東京都渋谷区渋谷1-17-1 TOC第2ビル3F
交通:JR線、東京メトロ、東急線「渋谷」駅徒歩3分
URL:https://www.hituji.jp/portal/
TEL:03-6427-5892
MAIL:portal@hituji.jp

今回のワークショップには、アートやクリエイティブなことに関心のある18名が参加。Q-TAさんのTwitterやInstagramをフォローしている方がほとんどです。東京都や千葉県など関東からの参加者が多数を占めましたが、なかには静岡県や広島県から遠路はるばるやってきたという熱心なQ-TAさんファンも。ワークショップ参加者は女性の方が多いそうですが、この日は男性も複数名参加していました。

なお、GOOD! CREATOR編集部からはこちらの2人が参加しました。

1人目はGOOD! CREATOR編集部の三輪あずささん(写真左)。クリエイター業界に特化した人材紹介企業でアドバイザーの仕事を行っています。ハンドメイドが趣味で、最近は友人の誕生祝いなどでメッセージカードをつくる機会も多いそう。休日はバスケも嗜むアクティブ派です。

2人目はGOOD! CREATOR編集部で記事制作を担当する桑原早紀さん(写真右)。Web制作会社にライターとして勤め、コラム記事などを執筆しています。ハンドメイドに興味があり、レジン細工やアメリカンフラワーなどの経験がありますが、コラージュは初体験。今回は新人クリエイターを代表してワークショップに参加します。

 

Q-TAさんから学ぶコラージュ制作の基本

ワークショップは15時から18時までの3時間。参加者には10枚の素材シートとB4サイズのボードが配布されました。これらのシートから素材を切り出し、パーツを組み合わせて作品にしていきます。
作業に入る前に、Q-TAさんから素材の切り方や組み合わせ方など、コラージュ制作の基本を教えていただきました。

 

①素材は大胆に切る

素材の切り方は作品の印象を大きく左右します。そのポイントは「大胆に切る」こと。輪郭に沿って切るだけでなく、上下左右にパーツを分けるなど、思い切ってハサミを入れることが大切です。バラバラのパーツに分けることで予想もしない組み合わせが生まれ、アイディアのヒントになります。
「最初はバーっとパーツに分けちゃったほうがいいです。とにかくバラバラにして、そこから見えたものを作品にしていくんですよ」とQ-TAさんも勧めます。

緻密な作業が多いコラージュ制作ですが、時には水着の男性を真っ二つに切り分けるような大胆さも必要です。

 

②主役を配置する

素材を切ったあとは、ひたすらパーツを組み合わせていきます。
「イメージは、見たことのない不思議な生き物をつくる感じで。感覚的に切って重ねてを繰り返し、その中から『これだ』という組み合わせを見つけてください」
なお、ワークショップでは事前に「これをつくろう」とテーマを決めてからハサミを入れることはNG。制作の過程でルールやコンセプトを練ることが求められます。

作品の軸となるパーツを選んでボードに配置します。それ中心に他の素材を足し引きして、作品を組み立てていくとキレイにバランスがとれます。

③「引き算」を意識する

コラージュ初心者にとって難関の1つが“空間の使い方”です。
「今回のワークショップでは、パーツを足すことより引くこと……“表現の引き算”を意識してつくってみてください。感覚的には間引いていくイメージ。間引きながら一番気持ちいいバランスを見つけるんです」
初心者はたくさんのパーツをつくったあと、「あれもこれも」と欲張って作品に盛り込んでしまう傾向があります。しかし、それでは受け手の視線を主役に誘導できず、散漫な印象を与えてしまう場合も。画面全体を使って主役を引き立たせるためには、“表現の引き算”を意識することがポイント。画面に余白を設けることで、作品に余韻を持たせることができます。

「絵本の挿絵をつくるようなイメージでやってみてください。表紙じゃなくて挿絵ですよ。語らずとも物語を感じる、空間の使い方を意識してみてください」

 

ワークショップの様子

作業が始まると、会場はしんと静まり返りました。ハサミを動かす音や紙の擦れる音だけが響きます。コラージュに限らず細かい作業を行うとき、人は集中するために黙り込んでしまいがち。しかし、Q-TAさんは「ワークショップだからこそ、ほかの人とのコミュニケーションを心がけてほしい」といいます。

「カッター持ってない人います? 持ってない人は隣にお願いして借りてください。あと、同じパーツを使いたい人もいると思います。これも交渉してトレードしてください。どうしてもこういう作業って黙っちゃうことが多いんですけど、どんどんコミュニケーションを取りましょう。他人と話して、作品を見ることでいろいろな発見があると思います。そこから考えてください」

開始から1時間ほど経ったところで、10分程度の休憩を挟みます。Q-TAさんからお菓子の差し入れもあり、皆さん甘いものを食べて頭をリフレッシュできたようです。「コラージュって難しいですね~」「お菓子食べます?」と打ち解けた様子も見られました。

グッズの販売も行われました。こちらの本はQ-TAさんの初作品集「land land」。この本の発売をきっかけにコラージュアーティストを名乗り始めたそうです。

Q-TAさん「サイン欲しい人ー!(笑)」

 

Q-TAさん直伝! コラージュのテクニック

素材を切り、パーツを組み合わせることでつくり上げるコラージュ。一見簡単そうな作業ですが、実際に取り組むとその複雑さに驚きます。特に「空間を活かす」ことは難しく、初心者はどうしても平面的な作品になってしまいがち。作品に奥行きや広がりを持たせるためにはどうしたらよいのでしょうか。コラージュ初心者でも手軽にできる、表現のテクニックをQ-TAさんに伺いました。

 

糊は部分的につける

一般に、糊づけをするときは剥がれないようにベッタリと塗ることが多いでしょう。しかし、コラージュではポイントを押さえて部分的に糊づけする手法がお勧めです。部分的な糊づけはパーツを微調整しやすいだけでなく、表現の幅を広げてくれます。
例えばこちらのチョウの素材。胸と腹の部分を糊づけして羽を立たせることで、チョウがひらひらと舞うような立体感を演出できます。

 

素材に切り込みを入れる

表現の幅を広げるために、素材に切り込みを入れるのも1つの手段です。
ティーカップの素材に切り込みを入れ動物の素材を差し込むことで、ティーカップの中から動物が覗いているようなパーツをつくることができます。やってみると簡単ですが、慣れていないとなかなか気づけないテクニックです。

 

クッションを挟む

素材を重ねるだけでなく、間にクッションを挟み立体感を演出する手法もあります。
左の素材はボードにそのまま貼りつけたもの。右の素材はボードとの間に折り畳んだ紙を挟んでいます。比較すると、クッションを挟んだ素材は浮き彫りのような立体感が表れますね。作品のアクセントとしても使えるテクニックです。
このように、初心者でもちょっとしたテクニックで作品に奥行きを持たせることができます。小さな工夫によって表現の幅がぐんと広がる点も、コラージュのおもしろさといえるでしょう。

 

制作風景をご紹介

それでは、写真とともにワークショップの様子をご紹介します。

 

気さくな人柄が魅力のQ-TAさん。コラージュ初挑戦の参加者にも優しく声をかけてくれます。世界を相手に活躍するコラージュアーティストから直接指導を受けられる、とても貴重な機会です!

「このパーツを足すとバランスはいい。だけどこれは色のバランスであって、空間のバランスではないんだよね、うーん……」 参加者の質問に対して真摯に、そして親身になってアドバイスをくれます。

真剣な表情。小さな素材を切り抜くには相当の集中力が求められます。

細かい作業にはピンセットがあると便利です。

ワークショップも残り15分。参加者より一足先に、Q-TAさんの作品が完成しました。
「さあ、残り15分です。ここからの追い込みが一番おもしろいんだよなぁ」
参加者の皆さんは、完成に向けてラストスパートに入ります。

「コンセプトにとらわれると素材を探すようになってしまうからね。そうじゃなくて、さっきも言ったけど『切りながら考える』ように。『これをつくろう』とテーマを決めずに自由にやってみて」
あるべき完成形を目指すのではなく、制作の過程で自分なりのルールやコンセプトをつくること。それが今回のコラージュワークショップの目標です。はたして参加者の皆さんは、どんな作品をつくり上げたのでしょうか。その結果については、後編の記事で紹介しましょう。

Q-TAさんのインタビュー記事はこちら

 

    UPDATE:
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    Q-TA

    Q-TA q-ta

    Q-TA(きゅーた)
    アートディレクター / デザイナー / コラージュアーティスト
    シュルレアリスムを独自の解釈で表現するファッション性の高いポップなコラージュ&ビジュアル作品で、GUCCIのアートプロジェクト「#GucciGram」、Viktor & Rolfの2017SSコレクション、ラコステなど海外アパレルブランドとのビジュアルコラボレーションをはじめ、ディズニー映画「Alice Through the Looking Glass」のInstagramキャンペーンへの作品提供、flumpool「FREE YOUR MIND」のMV、資生堂マジョリカマジョルカ「ストライクな瞳」CMなど、CDジャケット、雑誌、装丁、装飾デザインなど国内外で幅広く活躍する。